AYAMAKI'S

仕事の事とか、映画のこととか、生き方のこととか書いてます。

長い夜のおともに、わたし的おすすめの角川ホラー小説7選!

 

中学生ぐらいのころ、鈴木光司さんの「リング」を見たときのこと。あの有名な「見たら死ぬ映像」のシーンが頭から離れなくなり、夜眠れなくなりました。尿が出そうだと気付いたときの絶望感。家族は寝静まって誰も動いてはいないはずなのに、トイレまで後ろに何かがつけてきているような恐怖を感じて、半べそをかいたのは今となっては良い思い出です。

 

しかし、それでホラー小説が嫌いになったかというとそうでもなくて、文字だけで人をトイレに行くのを躊躇わせるほどのパワーに魅了されてしまったのです。それからは本屋に行くと黒い背表紙をした文庫本を真っ先に探すようになりました。ほどなくして、日本ホラー小説大賞という文学賞があるのを知り、受賞作品を読むのが毎年の楽しみになっていったのです。

 

今回、日本ホラー小説大賞の受賞作品ばかりではありませんが、今まで読んだ中で面白かったと感じたホラー小説を7点紹介したいと思います。

 

夜市

 

夜市 (角川ホラー文庫)

夜市 (角川ホラー文庫)

 

 

本当に綺麗な幻想文学に、ホラーの要素をスパイス的に加えたというような作品です。残虐なシーン、グロテスクなシーンはほとんどなくて、そういうのが苦手な人でも読みやすいはず。同収録の「風の古道」は読むと、旅に出たくなるような物語で、わたしは熊野古道をモウレツに訪れたくなりました。

 

 化身

 

化身 (角川ホラー文庫)

化身 (角川ホラー文庫)

 

 

自力では抜け出せない、美しい水が溜まった穴。小さな島はあるものの人が生きるには少々過酷な環境で、そこに落ちてしまった一人の男性の物語。要は人間が極限状態に置かれた時にどういう風に適応していくのかを、事細かに描いた作品なのですが、その適応の果てが気になってページをめくるのが止まらなくなります。

 

なまづま

 

なまづま (角川ホラー文庫)

なまづま (角川ホラー文庫)

 

 

この小説を表す言葉としては「狂気+愛」というのが一番しっくりくるかなと思います。愛する妻を失った男が、どうにかして妻を蘇らせようとするのが話の本筋です。

不死であり、人の形にもなる「ヌメリヒトモドキ」という生物の気持ち悪さと、堀井拓馬さんの独特のねちっこい描写が相まって、非常にこってりした読み応えのあるホラー小説になってます。最後の終わり方は数あるホラーの中でもトップクラスに好き。

 

かにみそ

 

かにみそ (角川ホラー文庫)

かにみそ (角川ホラー文庫)

 

 

 流星の降った夜に海辺でカニを拾う主人公。餌を与えるうちにどんどんと大きくなって人の言葉を話すようになり、やがては人を喰うようになってしまいます。

無気力に、惰性で生きているかのような主人公と、ユーモアすら感じさせるカニとのやりとりが「かにみそ」の見どころではないでしょうか。切なさを感じさせるラストは少しホラー小説らしくないかもしれませんね。面白いですけど。

同収録の「百合の火葬」は、かにみそと対照的なオーソドックスなホラーです。

いぬの日 

 

いぬの日 (角川ホラー文庫)

いぬの日 (角川ホラー文庫)

 

 

かにみそと同じく倉狩聡さんの小説になります。かにみそは短編小説でしたが、こちらは長編です。

流星が降った日の翌日、庭に落ちていた石が気に入ってかじっている内に人の言葉を話せるようになったヒメという犬が主人公です。犬が喋るとなると可愛らしいファンタジー小説かと思いきや、ヒメは人間が嫌いで、他の犬たちを率いて人間に復讐するようになるのですから、立派なホラーになっています。

現実にこんな高飛車で人の言葉を話せる御姫様みたいな犬がいたらいいんですが……。そしたら、本当に言うこと聞きまくりますよ!

ちなみに単行本のときには「今日はいぬの日」というタイトルでした。「きょうのわんこ」を彷彿とさせますが、この本を見た後にあの番組を見ると複雑な気持ちになりますよ。

 

少女禁区

 

少女禁区 (角川ホラー文庫)

少女禁区 (角川ホラー文庫)

 

 

タイトルが少々あやしい感じがしますね。呪詛の才能があって、周囲に恐れられる少女と、脅されるようにして少女に仕える男の物語です。ホラー小説大賞の短編賞受賞作ですが、受賞時は「遠呪」というタイトルで後に改変されています。響きが「呪怨」に似ているから改題されたのか、はたまた別の思惑かは分かりませんが物語の筋的には、「遠呪」の方がしっくり来ます。

ヒトガタに釘を打って痛みを与える呪いや、嘘を見破る紙の蝶などが登場するので、少々和風ファンタジーの色合いも強い小説です。

ただ、恋の話しといった要素もあり、わたしは読後「こういう恋愛死ぬまでにしてみたいなぁ」と呟いてしまいました。遠距離恋愛している人は感情移入できるかもしれませんね。

表題作だけでなく、もう一作収録されているのですが、そちらも姉弟間のいびつな愛情を描いている良作です。

 

プルトニウムと半月  

 

原子炉の爆発がきっかけで生き別れとなった、ある双子の姉妹の物語です。片方は立ち入り禁止区域となった「ハーフムーン」と呼ばれる場所で暮らし、もう片方は普通に社会生活を営んでいる、という設定で、やがて惹かれ合うようにしてまた一つの場所に集まるというのが話しの本筋です。

非常に後味が悪いというか、もう少し登場人物たちは幸せになる道があったのではないだろうか、と思いを馳せてしまうことになる作品だと思います。もちろん、それは小説として悪いことではなく、むしろそこまで感情移入させられるということですから。

最後は、ある少年の独白調の文が8ページほど続いて終わるのですが、その内容があまりにも悲しくて、読んだ当時わたしは泣いてしまいました。あまりにも辛い結末だったからです。

 

 

おわりに

実は、最近のホラー小説大賞の受賞作は読めていないのです。最後に読んだのは「先導者」でしょうか。今年の秋には、また受賞作を買い込もうかと思います。

 

今週のお題「読書の秋」でした。

お疲れ様でした!